稼ぐ農業を目指す!!

農業でさらに『上』を目指したい人に読んでもらいたいです。

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ヤンマーのトラクター『YTシリーズ』購入までの覚え書き①新車にするか、中古にするか

2019年秋の増税、面積拡大など

色々タイミングが重なりまして、

トラクターを

新規購入することになりました。

 

お世話になっている農機具屋さんのメインがヤンマーなので、

とりあえず大前提はヤンマーのトラクターにする、ということ。

 

中古にするのか、新車にするのか、

だいたいの購入価格は?

馬力はどのくらいが自分に合っているのか、

キャビンの有無は?

小型特殊?大型特殊?免許は今のままでいけるの?

などなど、自分が購入する際に困った事、

勉強になったことを何回かに分けて公開します。

 

①新車にするか、中古にするか?

まずは農機具屋さんに行って、ぶっちゃけ聞いてみました。

『新車と中古、メリットデメリットって何だろ?』

 

以下がその回答です。

新車のメリット

・自分の希望通りの馬力、大きさ、重量などが選べる。

水田なのか、畑作なのか、

露地栽培なのか、ビニールハウス栽培なのか、

小規模中規模なのか、大規模なのか、

などなど、農家ごとに栽培の「前提」が違います。

なので新車購入の場合は自分の希望する条件を当てはめながら

自分にベストマッチした車種を選ぶことができます。

この点が新車購入の最大のメリットだと思います。

・購入してからのメンテナンスがある程度不要。安心して乗れる

中古車、新車にかかわらず、オイル交換等の定期点検は必要ですが、

新車で購入した場合は1年や2年でオイル漏れやエンジン等の大きなトラブルが

起こる事は考えにくいです。正しい使い方をしていた上で壊れた場合は

保証などのサービスももちろんあります。

いつ修理が必要になるかわからないと言う中古車を買うよりも

買ってから平均して10年から15年は安心して乗れるというのは魅力的です。

・最新の車種なので、燃費、作業性などがよい(効率化)

トラクターのモデルチェンジのタイミングにもよりますが、

モデルチェンジしてから数年しか経っていない場合(最新のテクノロジーが利用されている場合)

その1世代前のトラクターとの差はかなりのものがあります。

結果的に作業効率や安全性などが増すことによって

中古の機種を購入した場合と比べ、価格差以上に得るものがあるかもしれません。

・2019年3月現在、納期があまりかからない(2週間から3週間程度)

増税前の駆け込み需要なども2019年3月現在はまだないそうで

注文してから1ヵ月かからない位で納車できるとのことです。

納車時期が読めるのは助かります。

新車のデメリット

・価格が高い

説明不要ですかね?

この一言に尽きます。

 

中古車のメリット

・新車に比べて価格が安い

 

中古車のデメリット

基本的には、新車のメリットの逆を考えただけの内容にはなりますが、

一応記載しておきます。

・前のオーナーの使い方によっては修理代が高くつく場合がある

購入する時は価格相応、安上がりだと思って購入しても

短期間で故障したり、修理が必要になってくると、

「新車を買っておけばよかった」と言うケースもあり得るでしょう。

また、価格差以上に「今このタイミングで故障されたら困る」

と言うタイミングでトラブルが発生した場合、

栽培の管理及び出荷スケジュール等に重大な遅れが生じる場合があります

(予定どおりに種まきができない、約束している出荷ができないなど)

時間や約束に関するトラブルは、金額以上に痛い思いをする場合があるのではと思います。

 

・自分の希望通りのスペックがなかなか見つからない

あなたがいつもお世話になっている農機具屋さんのスタイルにもよりますが、

普通の自動車等とは違い、農機具は基本的にいつでも『在庫不足』です。

たくさん中古を抱えているお店であっても、

「良い中古が入ったよ!」と言うときにはその車種はすぐに売れてしまいます。

逆に言えば、展示場に並んでいる=すぐに売れないデメリットがある

という可能性があるわけです。

もちろん、質のいい中古車をたくさんキープしている農機具屋さんも、

探せばあるかもしれませんが、

普通自動車と違い、農機具は基本的に

『壊れるまで使う!』という農家が大多数です。

逆に言えば、質のいい中古車というのは、

『離農するから手放した』

『トラクターの持ち主が亡くなったから売った』

というパターンがほとんどです。

そのパターンがあなたの農機具を買い替えたい時に、

タイミングよく起こるかどうか、、、、?

 

起こればラッキー!!ですが、

期待しすぎても時間がかかるばかりだと思います。

この点が、中古車探しの大変なところですね。

 

 

・平均して10年から15年前の車種から選ぶことになる

コレもさきほどの項目と内容がかぶりますが、

『離農するから売った』

『持ち主が亡くなったから売った』

場合以外では、

『長いことトラクターを使い続けて、自分のニーズと合わなくなった』

もしくは『調子が悪くなったから買い替えた』

ということがほとんどです。

つまり、必然的に年式が古いトラクターから選ぶ確率が高くなります。

スマホや家電ほどの差ではないですが、

『10年間のテクノロジーの進化』というのは、

トラクターにも存在します。

作業性能にはじまり、

乗り心地だったり、取り回しのしやすさ、

整備のしやすさ、燃費など、

新車に比べて

不便な点が多いのは覚悟しておきましょう。

 

・もしくは最新機種であってもアワーメーターがかなり回っている場合が多い

1つ前の項目で、『年式が古い』話をしましたが、

『おっ!!このトラクター、現行の型式じゃん!』

という車種が中古で見つかれば、十中八九、

『過走行』です。

たった数年しか経っていないけど、

大産地だったり、広大な面積を保有している農家が、

朝から晩まで毎日毎日耕すような使い方をしていれば、

当然『アワーメーター』(使用時間)がかなりかさみます。

 

 

もしくは、事故車など、重大なトラブルがあった可能性があります。

農機具屋さんに、『何故この新型の車種が中古車になっているのか?』

をしっかりと聞くように気をつけましょう。

 

・今手持ちのアタッチメント(PTO)との相性が良いか確認が必要

 

トラクターと言えば、

一般的に畑を耕す『ロータリー』をイメージする方がほとんどだと思います。

ですが他にも、プラウ、カルチベータ、肥料散布機、収穫機、草刈機など、

ロータリー部分を取り替えれば様々な使用方法があるわけです。

 

今手持ちのアタッチメントや、今後新しいパーツを導入する場合

この中古車にも同じ使い方ができるのか?

は結構重要なポイントになります。

この内容は、新車で買う場合にも同じ事が言えますが、

新車の場合は、カタログから始まり、メーカー担当者に問い合わせてみれば、

確実に返答が返ってくると思いますが、

中古車の場合、新車よりも若干情報が入りづらかったり、古い車種につき、

組み合わせの相性が悪かったり、、など、予想外の事も起こりやすいと思います。

その点ご注意下さい。

 

・希望する車種が見つかるまで納期がかなり長引くことがある

先程の『希望するスペックがなかなか見つからない』でも書いた通り、

中古車探しは自分で様々な農機具屋さんを色々歩き続けるか、

(最近はヤフオクなどにもトラクター出品がありますが、それを探すも同義)

かかりつけの農機具屋さんに探してもらうか、しかありません。

タイミングが全てです。

自分の希望する金額、馬力、機能など、

妥協はひとつもしない!!というつもりで動けば、

全てパーフェクトの車種が見つかるまで、かなりの時間がかかると思います。

その点は覚悟しておきましょう。

 

オマケ。農機具屋さんは、新車と中古車どっちを売りたい?

あくまで、私の身近な農機具屋さんと、農機具屋さんと仲の良い農家さんの情報なので、

全ての人に当てはまるかどうかは分かりませんが、、、、。

農機具屋さん的には、『中古車』を売った方が利益が大きくなることが多いらしいです。

新車の場合、当然農機具メーカーから仕入れて、カタログの定価ではなく、値引きをして販売するケースがほとんどのため、実は『思っているほどもうからない』とも言われているそうです。

そしてもう一つ。

実は私、就農する前は自動車ディーラーで働いていたのですが、そこの上司も同じ事を言っていました。

中古車だったら、『このお店にある一点もの』で商談をするから、話がシンプルだけど、

新車販売になると、お客さんは他のディーラーをいくつか回ってから値引き交渉を迫ってくる。

だから、新車の場合は、お客さんとの駆け引きより、他のディーラーとの駆け引きが大変なんだ。めんどくさい。中古車は他店との値引き合戦とかないから、話がスムーズ。

と言っていたので、農機具屋さんも、ある程度同じ事が言えるのかなぁと思います。

 

 

 

新車・中古車の購入の違いのまとめ

新車は、お金さえあれば

ほぼ希望通りの車種が手に入る。

一般的に納期も短い。

 

中古車は、価格は安いが、

自分の希望の条件に合う車種がなかなか見つからないことがある。

また、『希望条件』を優先する

(100パーセントの希望の車種を見つけるまで長い時間をかける)

か、『納期』を優先する

(希望条件を妥協するかわりに、早く購入する)

かの見極めをしっかりしないといけない。

 

私は、この度農機具屋さんと話を進めまして、、、、、

『新車』を購入することにしました!!

2019年現在のヤンマーのトラクター

YT2シリーズ

YT3シリーズ

どちらを買うのが自分には合ってるんだろう!?

そしてカタログの型番って読みづれぇーーー!!

どうやって型番見分けるんだ!?

 

それについてはまた次の記事で紹介します。

kasegu-nougyou.hateblo.jp

あなたのトラクター選びの参考になれば幸いです。

またぜひのぞいてみて下さい。

 

適正な経営面積の見極め方①【10aあたりの『作業内容』を全て書く】

f:id:ok-farm:20190219154208j:image

新規就農者だけでなく、就農から年数が経ってきても、

共通の悩み。それは経営の規模。

 

自分の作る作物が決まったとして、

どれくらいの面積で栽培するのが最適なのでしょうか?

『今ある土地で効率をよくする方がいいのか?』

『近所の休耕地、耕作放棄地を借りる方がいいのか?』

『逆に規模を減らして、効率よくした方がいいのか?』

『アルバイトを雇えば面積を増やせるかも?』

 

こういった悩みは農作業に慣れてきたとしても、

尽きないと思います。

 

今回は、その悩みについて

ちょっとだけアドバイス。

全ての方にあてはまるかは分かりませんが、

私が指導員さんから教えてもらった方法を

ここに記載しておきます。

『うぉぉ!!俺の場合は60aが限界の面積か!!』

というのが、分かり、私は大満足の方法でした。

実際に作成したものの一部を載せておきますね。

こんな表を作って、自分にあった面積の計算をしていきましょう!

 

f:id:ok-farm:20190219114457p:plain

 

(↓以下の表↓は、↑上の表↑をもとに作成します。解説は次の記事ー準備中)

f:id:ok-farm:20190219114950p:plain

f:id:ok-farm:20190219115017p:plain



 

目次(クリックすると、該当の段落に移動します)

先に聞いておこう!!やる気に満ちてますか!?

えーと、この面積計算(正確には労力の計算です)ですが、

以前ご紹介した資金繰り表のように

『お手軽』には出せません。

しっかりと時間を掛けないと、正確な数字が出ないのです。

具体的には、

自分の1年間の作業を洗い出し、

何時間かかったか、ということを数値化する必要があります。

正直、めんどくさいです。

(少し?やや?かなり?めちゃくちゃ?

どの程度めんどくさいかは、あなたのやる気次第です。)

 

でも!!!

今はやる気がないよー、、、という方も、

ザザーっと、読むだけ読んでみてください。

『今はやる気にならんけど、今後の為に、

 これは記録に残しといた方がいいな。』

というものが分かるだけでも

かなり経営力が増すと思います。

 

そして、やる気に満ちている方、頑張りましょう!

簡単ではないですが、この内容は、

稼いでいる農家は意識している内容です!!

 

適正規模の見極め方『10(a)1反あたりの労働力を求める』

『自分はどの程度の面積が最適なのか?』

『もっと面積を増やしてもいいのか?』

という悩みに立ち向かうには、

『その作物の10a栽培するのに、

 必要な労力は【何時間】なのかを求める』

という作業が最も簡単で確実な方法です。

(ちなみに、大規模経営に取り組まれる方は、

 10aでなく100a(1ha)で労働力を算出しても構いません)

 

繰り返しますが、

求めるのは『経費』ではなく『時間』です。

この点をしっかり意識して下さいね。

 

まずは算出方法を簡単にご紹介

具体的にどうやって10aあたりの作業時間を求めるのか?

詳しくは後ほど説明しますが、

まずはザックリと紹介しますね。

①作物の作業内容を『言語化』する。

②作業内容を『細分化』する。

③10aあたりの労働時間(労働力)が分かる。

④労働時間を基準に、自分のMAX面積を算出する。

やることは少し大変!と言いましたが、

やる項目はこの4ステップです。

 

最重要ポイント!作業内容の言語化と細分化

言語化、とは

『作業内容を

 文字にまとめる事』

細分化、とは

『文字にまとめた作業内容を、

 分かりやすく分類する事』

です。

 

言語化は、具体的にすればするほど

細分化は、細かくすればするほど、

正確なデータとなります。

『どれくらい作業内容を細かくすればいいのか?』

という問いに対しての答えは、

『あなたの農園に初出勤したアルバイトさんが、

    作業内容を間違えずに認識できるレベル』

に、細分化します。

『初出勤のアルバイトーーー?

    意味がよくわからん!!』

という方が多いと思いますので、先に悪い事例から紹介します。

 

悪い事例①作業が統一できていない、新規就農夫婦

以下は僕がお世話になった農業指導員さんのたとえ話です。

ある所に新規就農して数年のご夫婦がいました。

やや売上が足りないので、今の面積を増やそうと思っている。

そこで指導員さんに相談に来た。

『では、まずは年間の作業内容を言語化しましょう。

 栽培しているのは白ねぎですね。』

話を聞いていると、何かがおかしい。

夫婦で作業内容に結構ズレがあるのだ。

指導員『白ねぎの土寄せの回数は何回ですか?』

夫『3回です』

妻『えっ?5回です。』

夫『えっ?何故2回も多い!?』

妻『いやいや、台風対策で追加1回でやって、

  土のかかりが悪かった畑は更に1回やったでしょ?』

夫『覚えてないなぁ・・・』

指導員『つまり・・・・

    夫婦で作業内容が統一出来ていない、

    ということですね?』

夫&妻『あっ、ハイ、そうです。』

指導員『ではまず、お2人の作業内容を

    統一することから始めましょう。』

 

悪い事例②作業内容が分類できていないベテラン親子農家

これも指導員さんの例え話がモチーフです。

ある農家が、その指導員さんのところに相談に来た。

その農家は親子2代での家族経営をしている。

キャリアも長く、経営も安定している。

ただ、親父さんがこの先引退した時に、

経営規模を維持できるのか、アルバイトが必要になるのか、

検討が必要だったので、指導員さんのところに相談にきた。

 

指導員さんは、現在の作業時間について、

その親子両方に話を聞いた。

ところが何かおかしい。

『栽培に関する時間は年間◯◯時間くらいかなー。』という数字が、

親父と息子で全然違うのだ。

もちろん、この親子は年間通して同じ畑で同じ作業をしているのに、だ。

『えー!?親父、なんでそんな数字になるん?』

『息子よ、お前こそ何か計算間違えしよるじゃろうが』

そこで、指導員さんが2人にヒアリングをし、

まずは『言語化』しました。

栽培前のトラクター作業から始まり、

種まき、水やり、管理、

収穫、袋詰め、出荷

更には収穫が終わった畑の後片付けまで

全て『文字で説明できる』ようにしました。

 

この親子は、

トラクター作業、育苗、畝立て、定植までは、

言語化してもほぼ同じ内容でした。

 

しかし!!ナスの枝葉の『剪定(仕立て)』

になると、言語化すると内容が揃いません。

指導員『剪定は1つのナスの木に対して何回やりますか?』

親父『そりゃあ4回じゃろう。40年ずっと4回よ。』

息子『ハっ!?親父、6回じゃろ。回数間違えとるよ。』

親父『何でや、◯◯して××するのを4セットじゃろ』

息子『目で確認するだけでハサミを使わん時があるよね?アレも剪定だよ』

親父『はー?ハサミを入れるのが剪定じゃろ。見るだけなら剪定じゃないよ』

息子『いや、ハサミを入れるための下準備も剪定だと思うんだけど』

親父『アレは見回りよ見回り!剪定じゃなかろう』

指導員『つまり・・・・・

    お二人の作業内容は同じだけど、

    それぞれの作業の分類が違う・・

    ってことですね?』

親父&息子『あっ、そうです。ハイ。』

指導員『では、作業内容の分類と、

    定義もハッキリさせましょう』

 

事例を終えてのまとめ

ルール①作業内容を文字にして統一する

(作業内容を確定させたら、

 よほどの事が無い限りそのシーズンは

 その作業通りに栽培をするつもりで内容を考える)

 

ルール②作業内容の呼び方や定義をはっきりさせる

(解釈によってどちらにも取れる書き方は避け、

 明確に『この作業はこの項目に該当する』と決めておく)

 

ちゃんとルール①、②が実行されているかどうかの基準が、

前述の『初出勤のアルバイトでも作業内容を理解できる』です。

作業内容を紙にまとめたものを見せて、

年間のスケジュールが理解されるようにまとめられていたらOKです。

 

上記の①②のルールをまとめることは、

今回の『経営規模の計算』に使える事はもちろん、

今後、『アルバイトや社員を雇う時の計算』や、

『アルバイトへの作業指示』にも生かせるスグレモノです。

少し大変ですが、頑張ってまとめてみましょう!

 

実際に計算してみよう!10a当たりの労働力!

まずは、年間通しての作業内容の書き出しです。

紙に書いてもいいし、このまま時間計算までやり切る方は、

エクセルとかに直接入力してもらってもOKです。

ちなみに、複数作物を栽培している方は、

その作物ごとに分けて計算をしましょう。

面倒なように聞こえますが、

分けて計算した方が結局早いです。

 

例えば、私の作物、ごぼうの場合。

少し細かいかもしれませんが、

計画を立てるとしたらこんな感じの項目です。

 

 

堆肥の譲受 堆肥散布

肥料散布 耕転① 耕転②

畝立て 種まき 水やり

除草① 除草② 除草③ 除草④

収穫 調整 袋詰め 出荷

日々の準備、片付け

農機具メンテ

畑と畑の移動

草刈りなど管理

書類などの事務処理

などなど・・・

 

『細かいなぁ、、、』と思った方も居るかもしれませんが、

大切なのはここからです。

『初出勤のアルバイトさん』に、上記の項目を見せただけでは、

『除草①・・・②?

 除草①と②って何が違うんですか?』

と言われてしまいますよね?

今からの内容は

①具体的に作業内容を言語化する

②必要な道具や機械を全て書き出す

③その結果、必要な労働時間を算出する

です。

次の項目では①〜③の書き方を見ていきましょう。

★作業内容を全て言語化する

まず、画像を参考に、

エクセル(手書きの人は紙)の縦に、以下の欄を作りましょう。

 

f:id:ok-farm:20190219120439p:plain

・技術内容

・作業時期

・使用施設、機械

・機械時間

・人力時間

・組作業人員

・使用資材 

・注意事項

横(左右)には、分類した作業ごとの内容を記入していきます。

 

f:id:ok-farm:20190219120756p:plain

 

作業内容について
 

記入例①

耕転

技術内容

①PTOを石灰散布アタッチメントに付け替える
②苦土石灰を石灰散布機に投入
③圃場へ移動し、施肥する。
スピードは副変速度3の主変速1と、少し早めに設定する
(散布数量が多い場合は、予めほ場へ追加の石灰を運んでおく
④PTOをロータリーに戻す

『3月中旬(定植の3週間前には完了しておく)』

使用施設・機械

『トラクター①(27馬力)』

機械時間

『1時間/10a』

人力時間

『0分』

組作業人員

『1人』

使用資材

『なし』 

注意事項

『前日に雨が降っている場合はぬかるんで作業できないので注意。土が乾いてから作業する。』

 

 

記入例②

定植

技術内容

『溝切した畑にネギの苗を軽トラ、トップカーで運ぶ。一輪車などを使い、ネギの苗箱を植え溝のそばに置く。約14mおきに置くようにすると、補充が簡単。定植機「ひっぱりくん」に苗箱を設置し、割りばしをスタート地点に差す。チェーンポットを割りばしで止めるようにして定植を開始する。畑の傾斜に応じて、タイヤの高さを調整するのを忘れないようにする。14mでチェーンポットが全て無くなるため、10~13m地点で次の苗箱を補充し、ホッチキスでチェーンポットをつなぎ、スムーズに定植が続けられるようにする。土のかかりが悪い箇所には、定植が終わった後にクワなどで少し土をかけておく。』

作業時期

『4月末開始・5月中旬までには完了する』

使用施設・機械

『軽トラ・トップカー』

機械時間

『30分/10a』

人力時間

『2時間/10a』

組作業人員

『1人』

使用資材

『ひっぱりくん 白ネギの苗50枚 割りばし ホッチキス クワ 一輪車』 

 

 ーーーーーーーー

例を見て頂いて、イメージがわきましたか?

前述の通り、

『初出勤のアルバイトさんでも分かりやすい』

説明をしておくのが重要です。

ここから、そのポイントを項目ごとにご紹介します。

 

 

 

作業時期について

『何月〜何月頃まで』という感じで構いません。

追加で『梅雨入りまでに』

『霜が降りるまでには』

『最高気温が◯度になったら開始』

などを入れておくとなお良いかもしれません。

 

使用施設、機械について

使用施設、機械についても

『必要な物全て書く!!』事が重要。

私が面談した指導員さんに言わせると

『ここに記入してない道具は本番でも使っちゃダメ、

 くらいのつもりで全て記入しておきましょう』

ということです。

ベテラン農家からすれば

『畑仕事するんなら、一輪車とクワは当たり前に毎日使うもんじゃ。

 書かんでもいいじゃろう?』

などと思うかもしれませんが、作業内容の統一をするためにも、

『必要なものは必ず書く』クセをつけましょう!

 

ビニールハウス、トラクター、収穫機械、ネギの皮剥き機械、

クワ、スコップ、ホース、ハサミ。

などなど。

コレをキッチリ書き出すことによって、

『しまった!ビニールハウスのビニールを張り替えるの忘れてた!』

『一輪車パンクしてる!使えない!』

という、イージーミスが無くせるのに加え、

『ネギの皮剥き機は何月までに農機具屋さんに注文すればいいな』

『トラクターのメンテナンスは、この作業の1週間前には終えておこう』

などと、予定の確認もしやすくなると思います。

 

機械時間について【重要①】

ここから、一番大事な項目です。

まず、確認ですが

その機械作業をする時間/10aあたりで記入します。

実際の作業時間を計るのがベストですが、

キッチリと時間を計っていない人は、

今までの経験をもとに

『多分、これくらいの時間かな?』

プラス1時間くらいの時間で計算しましょう。

悪い方向で計算しておいて、その後実際に計測。

運が良ければ作業時間を削減できた!という計算を癖付けましょう。

例えば、『ネギの土寄せ』の場合…

『うちの土寄せ用の管理機を使って

    20列のネギの土寄せをする。

    管理機は1列走行したら、その両側2列に土寄せできる。

   ということは、10回走行しないといけない。

   1回走行するのにかかる時間は5分くらいかな?

   ということは10回走ると、50分かかるのか!

  更に、管理機の準備や、トラブルが起きたことを想定すると、

  やっぱり1.5時間〜2時間はかかるかもしれない。

    とりあえず、ネギの土寄せは1反あたり2時間で計算しておこう。』

このような感じです。

近所に、同じ作物を同じ機械で栽培している人がいれば、そういう方にアドバイス頂くのもいいかもしれませんね。

人力時間について【重要②】

前述の機械時間と同じく、時間に余裕を見て計算します。

例えば、白ねぎの定植の場合、

①白ねぎの苗箱(チェーンポット)は、10aあたり50枚必要。

②苗箱50枚を所定の位置に運ぶのに余裕をみて30分かかる。

③苗箱1枚当たり0.5分(30秒)で引っ張れるので、

50枚で25分かかる。

④苗箱を変える時、チェーンポットの継ぎ目にホッチキスをかけたり、

白ねぎの植え溝(列)が変わる時に、割りばしを地面にさして

チェーンポットの起点を作らないといけないので、

苗箱50枚分それを繰り返すと、30分程度はかかる。

⑤それらの時間を合計すると、

30分+25分+30分=1時間25分

トラブルなどがあった場合も考えて、余裕をみて

2時間とする。

 

白ねぎの定植10aにかかる時間は、2時間である。

 

備考:なぜ、機械時間と人力時間をわけるのか

人力時間に関しては、基本的に誰でも取り組めるわけですが、

機械時間に関しては、『機械を操作できるスタッフ』でないと

作業が出来ないわけです。

アルバイトさんなど、必要な人員を配置するときに、

機械と人力の作業を分けておいたほうが、トラブルを防げます。

 

また、この項目を分けておくことにより、

機械の燃料代や、アルバイトさんの人件費などの

経費の計算もしやすくなります。

キッチリわけるようにしておきましょう。

 

組作業人員について

組作業人員というのは、

『何人ペアでその作業をするか』という感じで結構です。

1人で単純に作業できるものは、1人で大丈夫ですが、

機械の都合や、作業の手順で、

どうしても2人いないと機械の操作が物理的に不可能だったり、

どう考えても3人ペアの方が作業効率が格段によくなる、など、

複数人必要な作業の場合は、その時にズバリ何人が必須なのか記入しておきましょう。

 

使用資材について

例えば肥料、農薬、マルチングフィルム、タネ、苗など。

機械以外に必要なものーーくらいで考えてもいいと思います。

『何が必要かーー』を記入するのと一緒に、

『◯月×日までにホームセンターで購入。(×月◯日までに予約しておく』

などと書いておくとなおよいと思います。

 

注意事項について

雨の日の翌日にはトラクター作業は不可。

草刈り機の作業時には、保護メガネをする。

この作業をする時は安全のために必ず二人一組でやる

など、技術内容に加えて、

特に安全面、栽培に関して間違えやすいポイントなどがあれば、

それを記入します。

(技術内容に全て書き込むのであれば、この欄はあまり意識しなくてもよいです。)

 

 

 まとめとこの続き

お疲れ様でした。

今日の内容を全てこなしたなら、

『言語化と細分化』『年間トータルの作業時間』 

がまとまったはずです。

 

以上の情報をもとに、次は作業時間を月ごとに割り振ります。

詳しくは次の記事で紹介します(準備中

 

 

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稼げる農家に共通している数値、『生産性』の高さとは??

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★農業において、

『生産性』という言葉はご存知ですか?

知っている方は意識されていますか?

昔からある栽培、売り方の農家、

新しい栽培法、販売法を実践されている農家。

 

意識している、いないに関わらず

儲かっている農家は、必ずこの数値が高いです。

 

『生産性って何?』という方は、

ぜひこの記事を読んでください!

ちょーかんたん!!な数字です。

ご自分の農業経営に生かして下さい!!

 

★というか、生産性ってなんの数値なの?

そもそも生産性とは

『労働時間に対して得られる成果』

を数値化したものです。

当然ながら、数値は大きければ大きいほど

『効率のいい経営をしている』ということになります。

 

もう少し、具体的な言葉にすると、

『その作物において、

 1時間作業すれば

 何円の売上が上がるのか』

ということをハッキリさせるのが、生産性です。

 

では、その数値はどうやって求めるのでしょうか?? 

 

★生産性を求める公式【品質×量÷時間】

『生産性って難しそうな言葉だな・・』

と思った方もいるかもしれませんが、

公式はとっても簡単です!!

 

【生産性=品質 × 量 ÷ 時間 】

です!

 

先ほど述べたように、

生産性=労働時間に対して得られる成果(効率のよさ)

です。

生産性は、これからの予測を立てる時にも使えますが、

初めての方は、とりあえず前年の実績(実際の数値)を

使った方が計算もしやすいし、イメージしやすいと思います。

第1のポイント、品質 

 品質=作物のクオリティです。

単価と言ってもいいかもしれません。

俗に言う『kg単価』が1番分かりやすいでしょう。

同じ野菜を1kg出荷したとして、

その野菜をいくらで買ってもらえるか?

当然ながら、数値は大きければ大きいだけよいです。

あなたの作物が

1kg何円で売れたか?

をまずは調べて下さい。 

 

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余談:品質を左右する2つの要因

少し余談になりますが、この品質というものを左右する要因として、

『内的要因』と、『外的要因』の2種類があります。

1つ目の内的要因は、

『農家自身でコントロールできるもの』です。

例えば

土づくり、肥料の調整

水やり、草取りなど、

作物に対して手を掛けてやれば、その品質は上がります。

逆に、手を抜きすぎると作物の品質が下がり、

『他の農家と同じ物を出荷しているのに、

 安い価格でしか取引できない』

という事態になりますね。

 

また、自分で売り先を開拓して、

顧客や取引先を増やす、ということも内的要因の1つだと私は考えます。

 

2つ目は、外的要因

1番分かりやすい例は、

『市場価格』です。

JAや市場出荷する場合の話ですが、

『自分はしっかり作物に手を掛けた!!

この上なくいい野菜が出来た!!』

と思ったのに、

『周りの農家もクオリティの高い野菜ばかり出していた。

 そのため、安値での取引となってしまった・・・』

という経験、ありませんか?

あなたは栽培を頑張り、結果を出した。

それなのに、kg単価は結局下がった。 

その要因は、あなた(内的要因)ではなく、

他の農家や、一般消費者の購買意欲、

スーパーなどの売り場の急な状況の変化など・・・

つまり、あなたの努力ではどうしようもないもの(外的要因)です。

 

こだわるべきは、『内的要因』

もう勘のいい方はお判りでしょうが、

私たち農家が注目すべきは、『内的要因』です。

もちろん、消費者の購買意欲を読み、高価格で作物が販売できるように、

予測を立てたり、事前に対策を立てることも大切です。

 

ですが、

『自分でコントロールできるもの』

『自分でコントロールできないもの』

の、どちらにチカラを注ぐべきかと考えたら、答えは簡単です。

コントロールできるもの、つまり内的要因に力を注ぎましょう。

まずはとにかく、品質のいいものを作ることにこだわる。

 

『俺は100%完璧な野菜を作り上げた!!!

 品質も優秀品だ!!なのに市場出荷したら、

 安値で買い叩かれた!!これが5年続いている!!!』

という方は、内的要因の1つ、『売り先』を真剣に考えましょう。

 

第2のポイント、『量』

おさらいですが、生産性を求める公式は

『品質 × 量 ÷ 時間』

次に注目すべきは量です。

これに関してはあまり難しくないですね。

同じ面積で栽培しながら、

少しでも多い収量を上げた方が利益は大きくなります。

収量が上がるように、種まきの時に株間を調整したり、

肥料バランスを変えてみたり、

出来ることに挑戦してみましょう!!

 

今回は、生産性を求めたい野菜について、

年間合計で何kg(もしくは何トン)とれるか、

確認してみて下さい。

 

第3のポイント、『時間』

品質と量を掛け算したものを、総合計の時間で割ります。

そうすれば、あなたの『生産性』が算出されます!!

 

ん???時間??時間ってどうやって計算すんの?

 

そうです!今まで生産性という項目を

意識していなかった人からすると、

1番大変なのが、この『時間』のチェックの仕方です。

 

私も人に自慢できるほどのクオリティではないですが、

1日に何時間くらい作業したかの記録を取っています。

 

あなたは、日報だったり、記録だったり、

『どれくらい作業したか?』というデータをお持ちですか?

もし有れば、そのデータをもとに、

年間トータルの『作業日数』、もっと詳しく計算できる方は

年間トータル『何時間』かかったかを算出して下さい。

これで生産性を求めることができます!

 

『今まで日報とかちゃんと取ってないなぁ、、』という方は、

以下に概算の求め方を紹介しておきます。

 

あなたの年間作業時間の求め方

作物の栽培開始から、終了までの期間を書き出して下さい。

ちなみに、栽培開始とは、トラクターだったり、堆肥の投入だったり、

その作物のために必須の作業なら、種まき以前のものも含まれますし、

栽培終了とは、例えば収穫後のピーマンの木の撤去や、マルチはぎなどの

その作物に関わる後片付けも含まれます。

(例:ナスの栽培。

最初のトラクター開始は3月10日。

収穫終了して、片付けが完了するのは11月30日)

 

その期間の日数を数えます。

 

 

数えるのが面倒な方は、

こういったページを参考になさって下さい。

keisan.casio.jp

 

 

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②その期間の中で、

実働(実際に働く時間)が何日間なのか、

月ごとに簡単に書き出します。

可能なら、それぞれ何時間かかるかもメモしておくと後が楽です。

例)

ナスの栽培

3月 トラクター作業2回 →2日間 合計4時間

4月 肥料散布~畝たて~定植→2日間 合計10時間

5月 剪定などの管理 → 5日間 合計15時間

6月 剪定などの管理 → 5日間 合計15時間

7月 収穫 出荷作業 →15日 合計75時間

8月 収穫 出荷作業 →15日 合計75時間

9月 収穫 出荷作業 →15日 合計75時間

10月 収穫 出荷作業 →10日 合計50時間

11月 収穫 出荷作業 →8日 合計40時間

    畑の片づけ →1日 合計8時間  

 

 

『今まで全くデータ取ったことないよ!!』

という方は、とりあえず『ざっくり』の日数や時間でいいと思います。

今後の経営にとって大切な数値になるので、

『何の野菜に何時間作業したのか?』というのは、

日々の日報などになるべく書いておくのをおススメします。

 

また、別の記事(準備中)にしようと思いますが、

『自分はこの作物をどれくらいの面積で栽培するのが一番いいのか?』

『自分1人、雇用なしでの栽培面積の限界はどれくらいなのか?』

などを考える時にも、この『時間』という概念は非常に重要になります。

安定経営のため、正確な計画作成のために、

『時間』のチェックをしっかりやっていきましょう。

 

さぁ、生産性を出してみましょう!!!

ということで、

①品質(今回はkg単価)

②量(何kg or 何トン?)

そして

③時間

を確認してもらいました。

 

品質 × 量 ÷ 時間

もうお分かりだと思いますが、

『品質×量』で、その作物が、

年間に何円の売上になるかが算出されます。

そして!!!

その売上のために、

『何時間かかったのか??』を調べて、

その時間で割ってやる。

 

すると、

『その作物において、

 1時間作業すれば

 何円の売上が上がるのか』

が出るわけです!!

この時間には、最初のトラクター作業や、

定植など、『直接売上が上がらない』作業も含まれています。

この数値こそが、その作物の『生産性』となります!!!

 

『生産性』と『時給』は、少し違う

アレ?売上合計を時間で割ったということは、

生産性って、時給のことなんじゃね?

と思われた方もいるかもしれませんが、

『生産性』には、『経費』が含まれていません!!!

『時給』算出するには、

売上合計(品質×量)から、

全ての経費を引いた数値を

時間で割る必要があります。

 

冒頭に戻りますが、

生産性は、

『労働時間に対して得られる成果』

を数値化したものです。似てはいますが、

時給とは少し違う概念です。

今年の栽培方法が、去年より効率化できているのか?

いい感じに手を加えて、収量が上がったのか?

それとも手を掛け過ぎて、時間ばかり増えてしまっていないのか?

そういったことを確認できる数値です。

 

 

まとめ 生産性を意識すると、自然と効率化できる

今回も色々と計算お疲れ様でした。

生産性を意識する事は、

結局『時間を意識する事』です。

『ここでもうひと手間かけておけば、後で時間が節約できるぞ!!』

『逆に、この作業は後回しにして、まとめた方が時間は減らせるかも?』

『ここで水やりを1日手抜きをしたから、やはり収量が落ちた・・・』

など、今までより高いレベルで自分の経営を見直すことができます。

 

いきなり、パーフェクトな生産性の数値を出すことは難しいと思いますが、

『自分はこの作物に、どれだけの時間をかけているのか?』

を意識するだけで、作業の段取りなども変わってくると思います。

 

ぜひ、意識してみて下さい!!!

 

 

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土が固くて杭が抜けない時のポイント3つ【動画】

今日、杭を抜きながら、

『あ、コレってもしかして他の人も知ってたら役にたつのかな?』

と思ったので、まとめてみました。

特に新規就農者の方

ぜひごらんください。

今後も分かりやすい情報発信をしていきますので、

よければ↓下↓のチャンネル登録ボタンをクリックしておいてください。

 

 

 

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資金繰り表を作ろう!を動画にまとめてみました。

先日のブログ記事

http://kasegu-nougyou.hateblo.jp/entry/sikinguri1

を動画にまとめてみました。

 

文章だけでは分かりにくい方は、ぜひご覧ください。

動画は2つありまして、

①5分で分かる資金繰り表の作り方

では、文字通り5分で説明できるように、

スピーディに資金繰り表の説明をしていっています。

↓動画はこちら↓

youtu.be

 

 

 

②フルバージョン

では、新規就農者向けに、ゆっくり説明してますので、

まどろっこしい方は倍速表示とか、スキップとかして下さいー!!

 

少しでもあなたの経営の安心材料や、

ヤバイ状態の早めの発見、予測につながれば幸いです。

 

 

 

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資金繰りで悩む農家、新規就農者に読んで欲しい記事②資金繰り表の読み方を解説

f:id:ok-farm:20190122003920j:plain

前回の記事は、

『確定申告で提出した書類と

 営農口座の通帳があれば、

 あなたの資金繰り表が作成できる!!

 作ってみよう!』

という内容でした。

前回の内容を実践して下さった方は

『1年前、2年前の自分の資金繰りの実績』

が手元に出来ていると思います。

また、

今年の売上予測が立てられる方、

翌年以降の目標金額や、目標所得が決まっている方は、

今年の資金繰り見込みや、

翌年以降の資金繰り予測も完成していることと思います。

 

今回の記事では、

その出来上がった資金繰り表の実際の読み方をご紹介します。

 

目次(クリックすると、該当の段落に移動します)

資金繰り表の読み方解説

まずは実例:年収520万円VS年収800万円

前回の記事で、例として架空の農家の資金繰り表を作成しましたが、

この農家の資金繰りはどうだったのかを見ながら、表の見方を学びましょう!!

今回は、この農家の

2017年、

2018年、

そして2023年の比較をしてみます。

資金繰り表がない状態で見比べると・・?

まず、皆さんに

『資金繰り表スゲェ!!!』

と言ってもらいたいので、資金繰り表がない状態、

つまり、確定申告の書類の数字だけで

2017年、2018年、2023年を比較してみましょう。

f:id:ok-farm:20190107000901p:plain

画像の通りですが、

順調にしか見えませんよね?

確定申告の書類ベースだと、

間違いなく売上も、所得も増えています。

ここに、資金繰り表のデータを追加すると・・・?

 

資金繰り表の情報を含めると・・・?

f:id:ok-farm:20190124090648p:plain



画像見て、

『え??』って言った方、挙手をお願いします(笑)

私も勉強会でこの説明の時

『は?は?何で?』みたいな状況でした。

講師いわく

『農業所得の多い少ないだけで判断していたら、

 資金繰りで大失敗することがあります!』

とのことでした・・・。

先ほど言ったことの繰り返しですが、

こんな事に気付ける資金繰り表、やっぱり便利です。

今から少しずつその解説をします。

 

年収が増えたら生活が苦しくなった・・・だと?

サラリーマンの『年収500万円』

と、

農家や個人事業主の『事業所得500万円』は、

ちょっとお金の考え方が違います。

サラリーマンは、もらった給料から税金を引けば、全額『自分のために』使う事ができます。当然です。給料の中から自己投資のために、仕事に関係する本を買ったり、資格を取ったりする事はあっても、会社の発展のために給料を会社に返納する必要はありません。

 

ですが、個人事業主は、

1年間の事業所得から、『来年の運転資金』をキープする必要があります。農家の場合で言えば、翌シーズンの収穫(お金を手にする)までに、

種まきや育苗

肥料や農薬、資材の購入

トラクターなどの整備費

畑の管理や、それに伴う人件費

など、『収穫するまでに必要なお金』がたくさんあります。

運転資金とはこの事です。

 

ということは、

その年に1000万円の売上があり、

経費を500万円で抑え、

事業所得が500万円あったとしても、

その500万円から、

翌年の運転資金を使わずにキープしておく必要があるということです。

 

資金繰りが大幅に変わるケース

 

ケース①ローンを組んで機械等を購入した

前回の記事でも書きましたが、ローンを組んで、確定申告の損益計算書に表示されるのは、ローンの総額(元金/それに伴う購入した農機具などの明細)と、利息だけです。月々の返済額などは表示されていません。(厳密には貸借対照表 バランスシートには表示されていますが、今回は触れません)

この資金繰り表の場合はどうでしょうか?

 

まず変わるのが

年借入返済額ですね。

例えば月に300万円のローンを5年で返済する場合、年間に60万円の借入金返済額が増えます。確定申告の損益計算の書類に記載はありませんが、事業所得500万円であったとしても、この時点で実際に使えるお金が440万円になります。

(前述しましたが、このローンの利息は、経費に計上されていますので、この計算は元金だけで大丈夫です)

ただ、300万円の農機具を買ったとしたら、減価償却費の設定があります。

今回は定額法(農家の一般的な計算方法)て計算します。

購入する機械によって、償却率が違いますが、例えば年間40万円の減価償却費の設定された場合、購入した翌年以降、『その年に機械を買ってないのに、機械を購入した経費』が償却しきるまで、毎年発生します。逆に言うと、その金額は資金繰りとして余分に使えるお金となるわけです。

というわけで、

ローンを組んで機械を購入すると、

『年借入返済額』(使えるお金マイナス)

が増えて

『減価償却費』(使えるお金プラス)

も増えるということになります。

 

ケース②面積を増やした

面積を増やしたらどうなるでしょう?

栽培面積が増えると、売上が増えます。

ということは、資金繰り表の計算で言うと

『翌年の運転資金』も

結果として増えるということになります。

『面積増やしただけで運転資金が増えるワケないじゃん!』と思われるかもしれませんが、その増えた面積を管理する人件費はかならず増加するわけです。トラクターの運転者の時給に加えて、燃料代も面積が増えたらその分増えます。肥料や農薬代もしかりですね。

 

ネガティブな事を言いますが、

『今年は農業所得が少なかったから、

 来年は挽回だ!!面積を増やすぞ!!』

と思い立って行動した場合、

『その年の農業所得は少ない』のに、

『翌年の運転資金は、面積を増やした分、多くかかる』

という、かなりキツい状況が起こり得ます。

そういった点も、この資金繰り表を使えば事前に予見できます。

結論:面積を増やすと、運転資金が増える

ケース③給付金が終了となった

当然の事ですが、給付金や補助金には、期限があります。

当然ながら、給付金や補助金が無くなれば、無くなった分だけ使えるお金が減ります。

当たり前じゃねぇか!!

と言われますが、ココにも少し落とし穴があります。

少し話が脱線しますので、この話は別記事にまとめます。

簡単に言うと、ローン地獄に陥るリスクがあるので注意、という事です。

→別記事 準備中

ケース④生活費をかなり増やした

子供が進学したから〜

家族が病気になって〜

など、お金を無駄遣いできない状況でも、

生活費がかさむ事は多いにありえます。

損益計算書でいうところの、『家計費』や、『事業主貸』が増えてしまったらどうなるか??

簡単にイメージできる思います。

事業として必要な『使えるお金』が減ります。そして、生活費に重きを置きすぎると、

『使えるお金』が『マイナス』になります。

具体的に言うと、家計費や、病院の治療費など、

生活費の方の支払いは問題なく行える代わりに、

事業用のお金の支払いが滞ります。

 

農協や農機具屋さん、

ホームセンターでの買い物の支払いが止まると、

当然次の買い物が出来なくなります。

銀行のローン支払いが遅れた場合、

購入した農機具や施設が差し押さえられたりします。

あなたにまだローンの融資枠が残っていたとしても、

『アイツに貸したらヤバイ』と判断されたら、

追加でのローンも組めなくなります。

生活費が払えただけでは、翌月の事業が行えません。

事業資金が回せただけでは、生活が出来ません。

『そんな状態にはならないよ。

 俺には共働きの配偶者がいるから。』

『私は親元就農だから、生活費の心配はないよ』

そう思っている方もおられるかもしれませんが、一応、農業経験が5年以上あるものとして、私からひとつだけアドバイスを。

 

『今の状況が、当たり前だと思わない方がいい』

という事です。

私の住んでいる県内で、バリバリ働いていて、

恐らくかなり稼いでいた若い農家が、突然離農しました。

『えっ!?何で!?』と聞くと、

『ご家族のご病気』が原因とのことでした。

メインで働いているご主人はすこぶる元気なんです。ただ、影で支えていた奥さんが、農作業の手伝いを出来なくなった。逆に、子供さんのお世話も旦那さんが半々以上手伝わなくてはならない。仕事へかけられる時間が減ったら、当然売上も所得も落ちてきます。

結局、この方は奥さんや子供さんをサポートしてくれる親戚がいる町に引っ越しされました。

サラリーマンと自営業の違いのひとつに、福利厚生があります。有給もありません。

休業の制度もありません。

昨年まで、順調だった農家が、たったひとつの病気、たったひとつのライフスタイルの変化で、離農することもありうるということを、お忘れなく。

 

今回のまとめ

資金繰り表を作れば、

・確定申告の書類だけでは見えなかった

 お金の収支が見える。

・今後の計画を立てる際に、面積拡大や機械購入など

 経営の変化の予測が立てやすい

 

長文に最後までお付き合い頂き、ありがとうございました。