稼ぐ農業を目指す!!

農業でさらに『上』を目指したい人に読んでもらいたいです。

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資金繰りで悩む農家、新規就農者に読んで欲しい記事①資金繰り表を作成する

経営、お金の悩みがスッキリ!!すごいぞ資金繰り表!

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文章よりも動画の方が分かりやすい、という方は、

以下のリンクの方がオススメです。↓




2018年の10月~12月に、

農業関係の勉強会に何度か参加してきました。

その中で特に『この話は聞けて良かった!!』

と思えた、

『資金繰り』についての解説です。

 

『農業始めて数年経つけど、資金繰りがこの先不安だ・・』

『今は順調だけど、規模拡大すべきなのか、現状の面積にしておくべきか?』

『大型機械をローンで購入したいけど、今後の返済は大丈夫かな?』

『来年新規就農するんだけど、この計画は本当に大丈夫なのかなぁ?』

など、経営にまつわる悩み。

つまりお金にまつわる悩みは、

どんなタイミングでも

それぞれお持ちだと思います。

 

今回、参加してきた勉強会で、

『その経営の悩みを見える化してくれるのが、

この資金繰り表だ!!』

と講師に熱弁され、本当に私自身、この先のお金の出入りが

明確になりました。

確定申告を毎年されている方なら、

確定申告用の書類と

お手持ちの営農口座の通帳で、

試算ができます!!!

少し長い文章になりますが、

ぜひ資金繰り表を完成させて、

経営の不安を取り除いて下さい!

 

 

まずは以下の表をごらんください。

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金額は架空の数字ですが、

資金繰りの履歴と、今後の試算表です。

これは誰でも簡単に作成できる表なのですが、

簡単なのに、かなり正確な数値が出ます!!

皆さんも白紙の用紙とエンピツ、電卓があれば試算できます。

もちろん、エクセルやスプレッドシートでもOKです!!

ぜひ一緒にやってみて下さい。

 

 

資金繰り試算表を作ろう!!

①表を作る前の準備

画像を参考に、

・売上(A)

・農業所得(B)

・来年の運転資金(ア)

・年減価償却費(イ)

・年借入金返済額(ウ)

・生活費(エ)

・農業次世代人材投資資金(オ)

・使えるお金(カ)

・貯金できるお金

・売上高材料費比率

の欄を紙に書いたり、エクセル等で作成して下さい。

この表の単位は全て千円です。

 

まず、昨年の金額をすべて入力して、

『昨年の実績と資金繰りはどうだったのか』を

振り返ってみましょう!

 

②それぞれの数値の調べ方

それぞれの数値の調べ方と、簡単な解説です。

切り捨てと切り上げをしっかりと。

はじめに!!!

数字を転記する際、

『売上は切り捨て』

『支出は切り上げ』

にしましょう!!!

売上は、減ることはあっても、増やすことは簡単ではありません。

逆に、支出は増えることはあっても、減らすことは簡単ではありません。

数千円の売上が増える誤差と、

数千円の支出が減る誤差。

今は少しの誤差だったとしても、

農業規模が大きくなった場合、

その誤差が数万円、数十万円になり

『何でこんなタイミングでお金が足りないの・・・?』

というトラブルになりかねません!!!

この

『売上は切り捨て』

『支出は切り上げ』

 は、農業関係の試算をするときには、必ず守りましょう!

確定申告の提出書類から転記する数値

確定申告の提出書類の項目、番号を参照しながら、

実際に入力してみましょう!!

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・売上(A)

確定申告(青色申告決算書1枚目)の

記入欄1 販売金額

記入欄2 家事消費金額、事業消費金額

の合計を入力して下さい。

後述しますが、『農業次世代人材投資資金(150万円)』や、

JAなどから支給される新規就農者の補助金は

ここには加算しない方がいいです。

・農業所得(B)

確定申告(青色申告決算書1枚目)の

記入欄36 差引金額

から、

記入欄3 雑収入を引いた数字を

記入してください。

雑収入というのは、農業関係の補助金、給付金や、

銀行などからの利子を記載されることが多いので、

この数値を所得に入れてしまうと、

後の計算に影響が出る場合がありますので

雑収入は引いておきましょう。

特に、新規就農者の場合、

『農業次世代人材投資資金(150万円)』を

除外するのはお忘れなく!!

 

・年減価償却費(イ)

青色申告決算書1枚目の

記入欄20 減価償却費

を記入してください。

 

・農業次世代人材投資資金(オ)

数年前まで、青年等就農給付金と言われていたものです。

主に年間150万円(半年ごとに75万円ずつ)給付されます。

タイミングよく申請をした農家でも、

MAX5年、750万円しかもらえません。

確定申告の書類には、『雑収入』に含まれている数字です。

その年にもらえる金額が150万円だったり、75万円だったり、

利益金額に応じて減額されていることもあります。

その年に給付された金額

(orこれからの給付予定)

を正しく記入してください。

また、JAや行政などからまとまった給付金がもらえた場合、

 もしくは今後もらえる場合は、

それもこの欄に記入しておくとよいでしょう。

 

営農口座(貯金通帳など)から転記する数値

『農業経営の数字は全て確定申告の書類に書いてある!!!』

と思っていた時期が、私にもありました・・・。

実は、確定申告の提出書類には書いてないんだけど、

それと同じレベルで大切な数字が2つあります。

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それが、以下の2項目です。

これは、

営農口座(農産物の売上や支出が入る通帳)の

実際の数字を記入してください。

・年借入金返済額(ウ)

農業機械や、施設などを購入する際に、農協や金融機関から

ローン(借金)をしている方は、この金額をお忘れなく!!!

確定申告の書類に、

『ローンの利子の金額』は記載がありますが、

『月々の返済額』は、

実は全く記載がないのです!!

ですから、

営農口座から、『JA:借入金返済』など、

記載のある数値の、年間の合計金額を転記してください。

ちなみに、『元金』と、『利子』がありますが、

転記する金額は、『元金』だけ記入してください。

『利子』は、確定申告の書類の『経費』に含まれているので、

ここで転記すると二重計上になりますのでご注意!!! 

 

 

 ・生活費(エ)

サラリーマンでいう所の、『給料』に相当するお金です。

農業の経営がうまく行っている、行っていないに関わらず、

あなたが生きていく上で生活費は必須ですよね?

昨年の実績で、

あなたが家計費として

営農口座から引き落とした金額の

年間の合計を、

この『生活費(エ)』に入力してください。

 

また、配偶者が会社づとめをしていたり、親元就農されていて

『私が何とかするから、生活費は半額だけ入れてくれればいいよ』

『とりあえず生活費は入れなくていいよ』

というパターンの方も、

実際に営農口座から引き落とした

生活費の金額を記入してください。

 

余談になりますが、今後の管理がしやすくなると思うので、

生活費を営農口座からプライベート口座に移すときは、

なるべく1か月に1度、まとめて移動させましょう。

『この月は月初に1万円移して、

中ごろに7万円移して、

月末に10万円移して・・・』

とやっていると、思わぬ計算ミスのもとです。

また、営農講座と、家計費の支出の口座は必ず分けるようにしましょう!!

 

上記の数値を計算して求める数値

ここからは、転記してもらった金額に少し計算を加えてもらいます。

そんなに難しくないので、電卓だけあれば大丈夫です。

エクセル、スプレッドシートで記入する方は、

『=A3×0.3』など、自動計算するとラクだと思います。

 

・来年の運転資金(ア)

この記事の最重要項目です!!!

算出の仕方は

『売上(A)× 0.3』です。

0.3 という数字に明確な根拠はありませんが、

私が参加した勉強会の講師が

『余裕を見てこれくらいの数値にしておけ』

と言われた、農家の平均運転資金に少し余裕を持たせた数値のようです。

『栽培や販売が上手な農家は、

この数値が0.25になったり、

0.2でよくなったりするが、

それは技術や経験がある農家の数字。』

特に新規就農者や、資金繰りに不安がある方は、

『売上(A)× 0.3』で算出しましょう!!

 

・使えるお金(カ)

この試算で分かる『結論』のような数値です。

少し計算項目が多いですが、要は

『農業所得に足すものを足して、

 引くものを引いたら、

 手元にいくら残るか?』という計算です。

計算式は

ーーーーーーーーーーーーーーー

  農業所得(B)

ー 運転資金(ア)

+ 年減価償却費(イ)

ー 年借入金返済額(ウ)

ー 生活費(エ)

+ 農業次世代人材投資資金(オ)

ーーーーーーーーーーーーーーーー

です!!

 詳しい解説は後述しますが、

当然のことながら、

この

・使えるお金(カ)

が、多ければ多いほど経営は安定している

稼げる農家、ということになります。

 

 

 

・貯金できるお金

計算式は

ーーーーーーーーーーーーーーーー

  今年の『使えるお金(カ)』

ー 昨年の『使えるお金(カ)』

ーーーーーーーーーーーーーーーー

です。

 

前項の『使えるお金(カ)』と連動していますが、

今年使えるお金が、去年の使えるお金より、いくら増えたのか?

増えた分が、貯金できる金額という計算になります。

『使えるお金(カ)』を増やすことが出来れば、

この『貯金できるお金』も増えるわけですが、

当然、この数値には『生活費』『来年の運転資金』などと

連動しています。

『貯金できるお金を増やすぞ!!』とそれだけを目標にすると

来年の農業が規模縮小してしまったり、

生活費の金額が足りなくなり、自分以外の家族に負担を強いるようなことも

あり得ます。

『貯金できるお金』は、あくまで結果です。

その点、気を付けましょう。

 ・売上高材料費比率

農林水産省のホームページに

”売上高材料費比率

売上高に占める材料費の比率を表す指標。 値が小さいほど、少ない材料費で多くの売上 高を実現する技術水準が高いことを示す。 農業所得率 売上高に占める農業所得の比率を表す指標。”

という項目があります。

この数値は、確定申告の際に必要な

収支内訳書で算出できます。

(種苗費+肥料費+農薬費+諸材料費)

   ÷ A(売上)

です。

文字通りの解説ですが、

今年の農業売上に対して、

材料費はどれくらいの割合を占めていたのか?

『1000万円売上が上がった!!!』

と言っていても、

『実は苗代と農薬費が950万円かかってたんだよね・・・』

となっていたら、1000万円の売上に、

まったく値打ちがありませんよね?

 

今回の勉強会の講師がおっしゃるには、

『野菜栽培の場合、

最悪30%以下。

できれば25%以下にしないと、

ハッキリ言って長期的な経営は苦しい』

とのことでした。

 

続けて2年前、3年前の数値を入力する。

以上の内容を正しく理解して頂き、

前年の確定申告の書類の数値と、

営農口座の数値を入力してもらうと、

前年の資金繰りの表が完成します。

 

同様に、2年前、3年前の数字を入力していけば、

ここ3年の資金繰り表の完成です。

『今年の見込み』、『翌年以降の目標金額』を反映する

もし、あなたが既に今年の売上の予想金額や、

来年以降の目標金額などの計画があれば、

それも翌年以降の欄に記入して下さい。 

 お疲れ様でした

長い記事になってしまいましたが、

これで資金繰り試算表の数字については以上です!!!

次回の記事では、具体的な表の見方と、

あなたの今の実績、計画は安定しているのかどうか?

その解説をしたいと思います。

↓更新しました↓ 

 

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