稼ぐ農業を目指す!!

農業でさらに『上』を目指したい人に読んでもらいたいです。

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適正な経営面積の見極め方①【10aあたりの『作業内容』を全て書く】

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新規就農者だけでなく、就農から年数が経ってきても、

共通の悩み。それは経営の規模。

 

自分の作る作物が決まったとして、

どれくらいの面積で栽培するのが最適なのでしょうか?

『今ある土地で効率をよくする方がいいのか?』

『近所の休耕地、耕作放棄地を借りる方がいいのか?』

『逆に規模を減らして、効率よくした方がいいのか?』

『アルバイトを雇えば面積を増やせるかも?』

 

こういった悩みは農作業に慣れてきたとしても、

尽きないと思います。

 

今回は、その悩みについて

ちょっとだけアドバイス。

全ての方にあてはまるかは分かりませんが、

私が指導員さんから教えてもらった方法を

ここに記載しておきます。

『うぉぉ!!俺の場合は60aが限界の面積か!!』

というのが、分かり、私は大満足の方法でした。

実際に作成したものの一部を載せておきますね。

こんな表を作って、自分にあった面積の計算をしていきましょう!

 

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(↓以下の表↓は、↑上の表↑をもとに作成します。解説は次の記事ー準備中)

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目次(クリックすると、該当の段落に移動します)

先に聞いておこう!!やる気に満ちてますか!?

えーと、この面積計算(正確には労力の計算です)ですが、

以前ご紹介した資金繰り表のように

『お手軽』には出せません。

しっかりと時間を掛けないと、正確な数字が出ないのです。

具体的には、

自分の1年間の作業を洗い出し、

何時間かかったか、ということを数値化する必要があります。

正直、めんどくさいです。

(少し?やや?かなり?めちゃくちゃ?

どの程度めんどくさいかは、あなたのやる気次第です。)

 

でも!!!

今はやる気がないよー、、、という方も、

ザザーっと、読むだけ読んでみてください。

『今はやる気にならんけど、今後の為に、

 これは記録に残しといた方がいいな。』

というものが分かるだけでも

かなり経営力が増すと思います。

 

そして、やる気に満ちている方、頑張りましょう!

簡単ではないですが、この内容は、

稼いでいる農家は意識している内容です!!

 

適正規模の見極め方『10(a)1反あたりの労働力を求める』

『自分はどの程度の面積が最適なのか?』

『もっと面積を増やしてもいいのか?』

という悩みに立ち向かうには、

『その作物の10a栽培するのに、

 必要な労力は【何時間】なのかを求める』

という作業が最も簡単で確実な方法です。

(ちなみに、大規模経営に取り組まれる方は、

 10aでなく100a(1ha)で労働力を算出しても構いません)

 

繰り返しますが、

求めるのは『経費』ではなく『時間』です。

この点をしっかり意識して下さいね。

 

まずは算出方法を簡単にご紹介

具体的にどうやって10aあたりの作業時間を求めるのか?

詳しくは後ほど説明しますが、

まずはザックリと紹介しますね。

①作物の作業内容を『言語化』する。

②作業内容を『細分化』する。

③10aあたりの労働時間(労働力)が分かる。

④労働時間を基準に、自分のMAX面積を算出する。

やることは少し大変!と言いましたが、

やる項目はこの4ステップです。

 

最重要ポイント!作業内容の言語化と細分化

言語化、とは

『作業内容を

 文字にまとめる事』

細分化、とは

『文字にまとめた作業内容を、

 分かりやすく分類する事』

です。

 

言語化は、具体的にすればするほど

細分化は、細かくすればするほど、

正確なデータとなります。

『どれくらい作業内容を細かくすればいいのか?』

という問いに対しての答えは、

『あなたの農園に初出勤したアルバイトさんが、

    作業内容を間違えずに認識できるレベル』

に、細分化します。

『初出勤のアルバイトーーー?

    意味がよくわからん!!』

という方が多いと思いますので、先に悪い事例から紹介します。

 

悪い事例①作業が統一できていない、新規就農夫婦

以下は僕がお世話になった農業指導員さんのたとえ話です。

ある所に新規就農して数年のご夫婦がいました。

やや売上が足りないので、今の面積を増やそうと思っている。

そこで指導員さんに相談に来た。

『では、まずは年間の作業内容を言語化しましょう。

 栽培しているのは白ねぎですね。』

話を聞いていると、何かがおかしい。

夫婦で作業内容に結構ズレがあるのだ。

指導員『白ねぎの土寄せの回数は何回ですか?』

夫『3回です』

妻『えっ?5回です。』

夫『えっ?何故2回も多い!?』

妻『いやいや、台風対策で追加1回でやって、

  土のかかりが悪かった畑は更に1回やったでしょ?』

夫『覚えてないなぁ・・・』

指導員『つまり・・・・

    夫婦で作業内容が統一出来ていない、

    ということですね?』

夫&妻『あっ、ハイ、そうです。』

指導員『ではまず、お2人の作業内容を

    統一することから始めましょう。』

 

悪い事例②作業内容が分類できていないベテラン親子農家

これも指導員さんの例え話がモチーフです。

ある農家が、その指導員さんのところに相談に来た。

その農家は親子2代での家族経営をしている。

キャリアも長く、経営も安定している。

ただ、親父さんがこの先引退した時に、

経営規模を維持できるのか、アルバイトが必要になるのか、

検討が必要だったので、指導員さんのところに相談にきた。

 

指導員さんは、現在の作業時間について、

その親子両方に話を聞いた。

ところが何かおかしい。

『栽培に関する時間は年間◯◯時間くらいかなー。』という数字が、

親父と息子で全然違うのだ。

もちろん、この親子は年間通して同じ畑で同じ作業をしているのに、だ。

『えー!?親父、なんでそんな数字になるん?』

『息子よ、お前こそ何か計算間違えしよるじゃろうが』

そこで、指導員さんが2人にヒアリングをし、

まずは『言語化』しました。

栽培前のトラクター作業から始まり、

種まき、水やり、管理、

収穫、袋詰め、出荷

更には収穫が終わった畑の後片付けまで

全て『文字で説明できる』ようにしました。

 

この親子は、

トラクター作業、育苗、畝立て、定植までは、

言語化してもほぼ同じ内容でした。

 

しかし!!ナスの枝葉の『剪定(仕立て)』

になると、言語化すると内容が揃いません。

指導員『剪定は1つのナスの木に対して何回やりますか?』

親父『そりゃあ4回じゃろう。40年ずっと4回よ。』

息子『ハっ!?親父、6回じゃろ。回数間違えとるよ。』

親父『何でや、◯◯して××するのを4セットじゃろ』

息子『目で確認するだけでハサミを使わん時があるよね?アレも剪定だよ』

親父『はー?ハサミを入れるのが剪定じゃろ。見るだけなら剪定じゃないよ』

息子『いや、ハサミを入れるための下準備も剪定だと思うんだけど』

親父『アレは見回りよ見回り!剪定じゃなかろう』

指導員『つまり・・・・・

    お二人の作業内容は同じだけど、

    それぞれの作業の分類が違う・・

    ってことですね?』

親父&息子『あっ、そうです。ハイ。』

指導員『では、作業内容の分類と、

    定義もハッキリさせましょう』

 

事例を終えてのまとめ

ルール①作業内容を文字にして統一する

(作業内容を確定させたら、

 よほどの事が無い限りそのシーズンは

 その作業通りに栽培をするつもりで内容を考える)

 

ルール②作業内容の呼び方や定義をはっきりさせる

(解釈によってどちらにも取れる書き方は避け、

 明確に『この作業はこの項目に該当する』と決めておく)

 

ちゃんとルール①、②が実行されているかどうかの基準が、

前述の『初出勤のアルバイトでも作業内容を理解できる』です。

作業内容を紙にまとめたものを見せて、

年間のスケジュールが理解されるようにまとめられていたらOKです。

 

上記の①②のルールをまとめることは、

今回の『経営規模の計算』に使える事はもちろん、

今後、『アルバイトや社員を雇う時の計算』や、

『アルバイトへの作業指示』にも生かせるスグレモノです。

少し大変ですが、頑張ってまとめてみましょう!

 

実際に計算してみよう!10a当たりの労働力!

まずは、年間通しての作業内容の書き出しです。

紙に書いてもいいし、このまま時間計算までやり切る方は、

エクセルとかに直接入力してもらってもOKです。

ちなみに、複数作物を栽培している方は、

その作物ごとに分けて計算をしましょう。

面倒なように聞こえますが、

分けて計算した方が結局早いです。

 

例えば、私の作物、ごぼうの場合。

少し細かいかもしれませんが、

計画を立てるとしたらこんな感じの項目です。

 

 

堆肥の譲受 堆肥散布

肥料散布 耕転① 耕転②

畝立て 種まき 水やり

除草① 除草② 除草③ 除草④

収穫 調整 袋詰め 出荷

日々の準備、片付け

農機具メンテ

畑と畑の移動

草刈りなど管理

書類などの事務処理

などなど・・・

 

『細かいなぁ、、、』と思った方も居るかもしれませんが、

大切なのはここからです。

『初出勤のアルバイトさん』に、上記の項目を見せただけでは、

『除草①・・・②?

 除草①と②って何が違うんですか?』

と言われてしまいますよね?

今からの内容は

①具体的に作業内容を言語化する

②必要な道具や機械を全て書き出す

③その結果、必要な労働時間を算出する

です。

次の項目では①〜③の書き方を見ていきましょう。

★作業内容を全て言語化する

まず、画像を参考に、

エクセル(手書きの人は紙)の縦に、以下の欄を作りましょう。

 

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・技術内容

・作業時期

・使用施設、機械

・機械時間

・人力時間

・組作業人員

・使用資材 

・注意事項

横(左右)には、分類した作業ごとの内容を記入していきます。

 

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作業内容について
 

記入例①

耕転

技術内容

①PTOを石灰散布アタッチメントに付け替える
②苦土石灰を石灰散布機に投入
③圃場へ移動し、施肥する。
スピードは副変速度3の主変速1と、少し早めに設定する
(散布数量が多い場合は、予めほ場へ追加の石灰を運んでおく
④PTOをロータリーに戻す

『3月中旬(定植の3週間前には完了しておく)』

使用施設・機械

『トラクター①(27馬力)』

機械時間

『1時間/10a』

人力時間

『0分』

組作業人員

『1人』

使用資材

『なし』 

注意事項

『前日に雨が降っている場合はぬかるんで作業できないので注意。土が乾いてから作業する。』

 

 

記入例②

定植

技術内容

『溝切した畑にネギの苗を軽トラ、トップカーで運ぶ。一輪車などを使い、ネギの苗箱を植え溝のそばに置く。約14mおきに置くようにすると、補充が簡単。定植機「ひっぱりくん」に苗箱を設置し、割りばしをスタート地点に差す。チェーンポットを割りばしで止めるようにして定植を開始する。畑の傾斜に応じて、タイヤの高さを調整するのを忘れないようにする。14mでチェーンポットが全て無くなるため、10~13m地点で次の苗箱を補充し、ホッチキスでチェーンポットをつなぎ、スムーズに定植が続けられるようにする。土のかかりが悪い箇所には、定植が終わった後にクワなどで少し土をかけておく。』

作業時期

『4月末開始・5月中旬までには完了する』

使用施設・機械

『軽トラ・トップカー』

機械時間

『30分/10a』

人力時間

『2時間/10a』

組作業人員

『1人』

使用資材

『ひっぱりくん 白ネギの苗50枚 割りばし ホッチキス クワ 一輪車』 

 

 ーーーーーーーー

例を見て頂いて、イメージがわきましたか?

前述の通り、

『初出勤のアルバイトさんでも分かりやすい』

説明をしておくのが重要です。

ここから、そのポイントを項目ごとにご紹介します。

 

 

 

作業時期について

『何月〜何月頃まで』という感じで構いません。

追加で『梅雨入りまでに』

『霜が降りるまでには』

『最高気温が◯度になったら開始』

などを入れておくとなお良いかもしれません。

 

使用施設、機械について

使用施設、機械についても

『必要な物全て書く!!』事が重要。

私が面談した指導員さんに言わせると

『ここに記入してない道具は本番でも使っちゃダメ、

 くらいのつもりで全て記入しておきましょう』

ということです。

ベテラン農家からすれば

『畑仕事するんなら、一輪車とクワは当たり前に毎日使うもんじゃ。

 書かんでもいいじゃろう?』

などと思うかもしれませんが、作業内容の統一をするためにも、

『必要なものは必ず書く』クセをつけましょう!

 

ビニールハウス、トラクター、収穫機械、ネギの皮剥き機械、

クワ、スコップ、ホース、ハサミ。

などなど。

コレをキッチリ書き出すことによって、

『しまった!ビニールハウスのビニールを張り替えるの忘れてた!』

『一輪車パンクしてる!使えない!』

という、イージーミスが無くせるのに加え、

『ネギの皮剥き機は何月までに農機具屋さんに注文すればいいな』

『トラクターのメンテナンスは、この作業の1週間前には終えておこう』

などと、予定の確認もしやすくなると思います。

 

機械時間について【重要①】

ここから、一番大事な項目です。

まず、確認ですが

その機械作業をする時間/10aあたりで記入します。

実際の作業時間を計るのがベストですが、

キッチリと時間を計っていない人は、

今までの経験をもとに

『多分、これくらいの時間かな?』

プラス1時間くらいの時間で計算しましょう。

悪い方向で計算しておいて、その後実際に計測。

運が良ければ作業時間を削減できた!という計算を癖付けましょう。

例えば、『ネギの土寄せ』の場合…

『うちの土寄せ用の管理機を使って

    20列のネギの土寄せをする。

    管理機は1列走行したら、その両側2列に土寄せできる。

   ということは、10回走行しないといけない。

   1回走行するのにかかる時間は5分くらいかな?

   ということは10回走ると、50分かかるのか!

  更に、管理機の準備や、トラブルが起きたことを想定すると、

  やっぱり1.5時間〜2時間はかかるかもしれない。

    とりあえず、ネギの土寄せは1反あたり2時間で計算しておこう。』

このような感じです。

近所に、同じ作物を同じ機械で栽培している人がいれば、そういう方にアドバイス頂くのもいいかもしれませんね。

人力時間について【重要②】

前述の機械時間と同じく、時間に余裕を見て計算します。

例えば、白ねぎの定植の場合、

①白ねぎの苗箱(チェーンポット)は、10aあたり50枚必要。

②苗箱50枚を所定の位置に運ぶのに余裕をみて30分かかる。

③苗箱1枚当たり0.5分(30秒)で引っ張れるので、

50枚で25分かかる。

④苗箱を変える時、チェーンポットの継ぎ目にホッチキスをかけたり、

白ねぎの植え溝(列)が変わる時に、割りばしを地面にさして

チェーンポットの起点を作らないといけないので、

苗箱50枚分それを繰り返すと、30分程度はかかる。

⑤それらの時間を合計すると、

30分+25分+30分=1時間25分

トラブルなどがあった場合も考えて、余裕をみて

2時間とする。

 

白ねぎの定植10aにかかる時間は、2時間である。

 

備考:なぜ、機械時間と人力時間をわけるのか

人力時間に関しては、基本的に誰でも取り組めるわけですが、

機械時間に関しては、『機械を操作できるスタッフ』でないと

作業が出来ないわけです。

アルバイトさんなど、必要な人員を配置するときに、

機械と人力の作業を分けておいたほうが、トラブルを防げます。

 

また、この項目を分けておくことにより、

機械の燃料代や、アルバイトさんの人件費などの

経費の計算もしやすくなります。

キッチリわけるようにしておきましょう。

 

組作業人員について

組作業人員というのは、

『何人ペアでその作業をするか』という感じで結構です。

1人で単純に作業できるものは、1人で大丈夫ですが、

機械の都合や、作業の手順で、

どうしても2人いないと機械の操作が物理的に不可能だったり、

どう考えても3人ペアの方が作業効率が格段によくなる、など、

複数人必要な作業の場合は、その時にズバリ何人が必須なのか記入しておきましょう。

 

使用資材について

例えば肥料、農薬、マルチングフィルム、タネ、苗など。

機械以外に必要なものーーくらいで考えてもいいと思います。

『何が必要かーー』を記入するのと一緒に、

『◯月×日までにホームセンターで購入。(×月◯日までに予約しておく』

などと書いておくとなおよいと思います。

 

注意事項について

雨の日の翌日にはトラクター作業は不可。

草刈り機の作業時には、保護メガネをする。

この作業をする時は安全のために必ず二人一組でやる

など、技術内容に加えて、

特に安全面、栽培に関して間違えやすいポイントなどがあれば、

それを記入します。

(技術内容に全て書き込むのであれば、この欄はあまり意識しなくてもよいです。)

 

 

 まとめとこの続き

お疲れ様でした。

今日の内容を全てこなしたなら、

『言語化と細分化』『年間トータルの作業時間』 

がまとまったはずです。

 

以上の情報をもとに、次は作業時間を月ごとに割り振ります。

詳しくは次の記事で紹介します(準備中