認定新規就農者の計画の立て方⑥必要な経費を算出する
お疲れ様でしたぁぁぁぁーーー!!!
お疲れ様でしたぁぁぁぁーーー!!!
前回の記事までは、
『売上を上げる方法』を
とにかく考えて頂きました!!!
売上については、とにかくあなたのアイデアが全て!!
『〇〇を作りたい』『売り先は✖✖にしたい』ということについては、
他人が決めることはできませんからね!!
しかし、この記事で取り組む経費(支出)は、
基本的に、アイデアをひねり出す必要はありません!!!
『いくらかかるかな?』という調査や、計算は必要ですが、
淡々と調べていけば、全ての数字は埋まります!!
認定新規就農者の書類完成まで、もう少し頑張りましょう!!
目次(クリックすると、該当の段落に移動します)
- 経費について簡単に説明します
- 計算のやりかた
- ⑧租税公課
- ⑨種苗費
- ⑪肥料費
- ⑬農具費
- ⑭農薬衛生費
- ⑮諸材料費
- ⑯修繕費
- ⑰動力光熱費
- ⑱作業用衣料費
- ⑲農業共済掛金
- ⑳減価償却費 ※重要!!
- ㉑荷造運賃手数料
- ㉒雇人費(やといにんひ)
- ㉓利子割引料
- ㉔地代賃借費
- ㉕土地改良費
- 以下は私が勝手に入力している項目です
- ㉖(自分で入力)出荷手数料
- ㉗(自分で入力)広告費
- 野菜栽培ではあまり使わない項目
- お疲れ様でした。経費の計算は以上です
経費について簡単に説明します
まずはこちらの書面をご覧ください。
税務署に行ったらもらえる、農業用の確定申告(主に青色申告ともいう)の書類です。
他にも数枚書類がありますが、こちらの書類に、
『1年間農業をした結果、〇〇円お金を手にしたよ!』(収入金額)
と
『1年間農業をした結果、✖✖円お金がかかったよ!』(経費)
という金額を記入していきます。
そして、その差額を『所得』(年収)として、税務署に申告するわけです。
で、今回の記事のテーマ、経費ですが。
ご覧の通り、こちらの書類には、農業でかかりそうな経費の内訳が
最初から記入してあります。
番号で言う所の⑧~㉕ですね。
まだ確定申告をしたことのない人は、
この項目に従って数字を埋めていくのがラクだと思います。
ただ、この項目は、申告する人が経費を振り分けやすいように、
自分で内訳を追加したり、内訳の名前を変えてもいいそうです。
私は、
空欄㉖の所に、『出荷手数料』を。
空欄㉗の所に、『広告費』を記入して使っています。
あなたも何年か確定申告を自分で続けていると、
『自分はこの費用のこともしっかり内訳で見られるようにしておきたい』
という項目が出てくると思います。
その場合は、その項目を空欄に入れて使ってみてください。
それでは、通常の農家が使う経費の項目を紹介しながら、
どうやって金額を算出するかご説明します。
計算のやりかた
今から、⑧~㉗の経費項目をひとつずつ紹介し、
経費の計算方法を説明します。
国税庁のホームページから、
青色申告の書類をダウンロードして印刷して、手書きするか、
エクセルなどに、項目名と金額を打ち込んで合計してもらいます。
その合計が、あなたの農業で1年間にかかる『経費』(支出)ということになります。
ひとつずつ計算して記入していって下さい。
⑧租税公課
農業で得た所得に応じて支払う、税金を主に記入します。
所得税というやつです。
※自動車税や住民税などはコレには入りません!
今、あなたが取り組んでいるのは
『250万円の所得(年収)を得るための計画』ですので、
2018年現在の税率で計算して、
6万円という金額を入力しておけばいいと思います。
コレはもう細かく考えなくていいです。
⑨種苗費
★野菜の種、苗などにかかる金額を入力します。
調べておく情報
あなたが栽培したい野菜の種、苗はどこに売っているのか?
また、金額はどれだけの量がワンセットいくらで売っているのか?
計算方法
前回の記事で計算してもらった、あなたの野菜の収量を基準に逆算します。
例①)収量から逆算する
キャベツ10000玉出荷する場合の苗代を計算しましょう!
10000玉収穫するためには、
生育不良なども考えて1、3倍の苗を植える必要がある
10000×1.3=13000
農協に苗を注文すると、128株の苗が1500円で売っている
13000÷128=約102 →102枚の苗箱が必要となる。
102枚 × 1500円=153000円
キャベツ10000玉収穫するには、153000円の苗代が必要となる
例②面積から計算する
野菜のタネのカタログや、農協さんなどでもらえる、栽培ごよみなどに、
『ニンジンのタネの量の目安。1反あたり〇〇粒、または✖✖ml』
とか書いてあるものがあります。
あなたの栽培面積に照らし合わせて、そのトータルの数量を計算。
あとは、カタログなどにある単価を掛ければ算出できます!
栽培する作物が複数ある方は、
当然、それぞれに必要な種や苗の量を計算して、合計して下さいね。
⑪肥料費
文字通り、肥料代金です。
JAやホームセンターで買える肥料から、
他のお店から仕入れる有機栽培に必要な肥料。
堆肥などもここに計上します。
作物によって肥料費用は全く異なりますが、
農協などでもらえる栽培ごよみや、タネのカタログなどに載っている
『肥料はこれくらい入れましょう』という施肥(せひ)の表などを参考に、
堆肥は1反あたり〇〇kg入れる、肥料は1反あたり✖✖kg入れる
などという数量を計算して、
それに肥料の単価を掛けて、算出しましょう!!
⑬農具費
クワとか、小さめの機械の金額などを合計します。
私の経験では、農具を毎年毎年、同じモノを買う事は少ないので、
あまりこの金額は大きくならないと思います。
ただし、買うものが思い当たらない方も、
イレギュラーがあったりするので3~5万円程度は計上しておきましょう。
⑭農薬衛生費
農薬、除草剤などにかかる費用はここに入れます。
あなたのやりたい栽培にもよりますが、
『この野菜を育てるまでに農薬はだいたい4回』とか、目安があると思います。
その回数に、必要な農薬の量と単価を調べて、計算しましょう。
⑮諸材料費
私の作物の場合、『マルチングフィルム(通称マルチ)』が必要なんですが、
そういったものはここに計上します。
他にも、支柱、作物を育てるためのネット、ビニールハウスの消耗品など、
ここに記入していきます。
あなたの作物を育てるのに必要な資材を確認し、
1年間でいくら必要なのか計算しましょう。
例)ジャガイモを栽培の場合に必要なマルチの金額
50mの長さの畝が、40本必要。
→合計2000mのマルチが必要
→200m売りのマルチが10本必要。
単価2000円のマルチが10本
→マルチの金額は20000円
⑯修繕費
機械や、作業場の修繕などにかかる費用を入力します。
ベストなのは、近所で同じ作物を作っている人に聞くこと。
『この機械は5年に1回メンテナンスが必要。その時は10万円かかるね』
と言われたら、年間2万円の修繕費がかかるわけです。
機械や、ビニールハウスがたくさん必要な人は
自然とコストが増える項目です。
この金額は、イレギュラーなので予測がたちにくいのですが、
とりあえず、甘めに見て5万円(月額4000円計算)、
厳しめに見る方は30万円(月額25000円計算)
くらい入れておけばいいかな、と思います。
あくまで計画ですから、アバウトで構いません。
⑰動力光熱費
作業場の電気代金、トラクターの軽油代金、
軽トラックのガソリン代金など、入力しましょう。
トラクターの大きさなどによっても違うので、ここは何とも言えませんが、
もしご近所に同じ規模の農家さんがいれば、
年間で何リットルくらいの軽油が必要か
聞いてみてください。
頼れる農機具屋さんがいれば、
そちらに問い合わせてみるのもよいと思います。
⑱作業用衣料費
長靴、作業着、手袋などを入力します。
既に用品がそろっている方は、
そんなに高額にはならないと思いますので、
2~3万円(月額2000円計算)あればいいんじゃないかな、
と私は思います。
まだ何も買いそろえてない方は、農業に必要な衣料品は、
何がいくらするのか、計算しましょう。
⑲農業共済掛金
青色申告の用紙に最初から記入されているこの欄。
私は今のところ毎年ゼロ円のままです。
共済(保険)を掛ける人は、
あなたの畑の規模や、収量を計算したうえで、
JAや、保険の担当者に年間どれくらいの掛け金が必要か
聞いてみてください。
⑳減価償却費 ※重要!!
一言で言うと、
『農機具屋さんと税務署に行って確認しよう!!』
なのですが、簡単に概要を。
ここ、結構重要なので、また改めて説明しようと思いますが、(準備中)
20万円以上の大きい買い物をしたら、
確定申告では
『新車価格で購入した金額を、
耐用年数で割り算した金額を
1年間の経費にし、耐用年数の年繰り返す』
というルールがあります。
機械の種類や
新品、中古によって年数が違いますが、
これから大きな機械を買う予定がある人は、
その機械の金額を農機具屋さんなどで調べたうえで、
その合計金額を耐用年数で割り算したものを記入して下さい。
例)140万円のトラクター(新車)を購入
140÷7=20
20万円を計上
上記は一例ですが、年によって税金のルールが変わることもあるので、
ルールが把握できていない方は、
農機具屋さんとJAの確定申告アドバイザー、
税務署の担当者に、『この機械を買ったら減価償却費はいくらですか?』
と聞いてみましょう!
㉑荷造運賃手数料
農協などに出荷する場合の送料。
宅配便を利用する方は、運送業者に払う金額。
また、箱詰めにかかる段ボール代金やガムテープ代金もここに計上します。
農協などに出荷する方は、担当者に箱の代金や、送料等聞いてみましょう。
自分で運送業者に出す予定の方は、
郵便局や、クロネコヤマトの担当者などに、
見積もり(数量が多くなれば一般の人より安くなるかも?)を取ってもらいましょう。
市場出荷や、産直に出荷する人は、
年間通して、産直市にこれくらい野菜を出すよ!
という数字に手数料率(15~30%が相場)を掛け算した数字に加え、
出荷で決められた箱や袋、テープの代金を足したものを
荷造運賃手数料に記入します。
また、自分で宅配便を送る人は、
年間に送る箱の数 × 送料
に、段ボールなどの箱代金、袋代金を足したものを
荷造運賃手数料に記入します。
㉒雇人費(やといにんひ)
『俺は人は雇わん!!!俺が全部やる!!』という方は、ゼロ円でOKです。
もし、誰かにお手伝いをお願いしたい方は、
1か月に何時間くらいお願いしたいのか、だいたいのでいいので計算。
時給は、余裕を見て1000円~1100円くらいを見ておくと、
あとの調整がラクだと思います。
それを掛け算したものを、この項目に記入します。
㉓利子割引料
大型の農機具を買ったりする際
JAなどから借金をする方は、ここに支払う利子の金額を記入します。
借金するつもりがない方は当然ゼロです。
大型農機具を買ったりする方は、JAなどの金融機関の担当者に、
金利の計算をお願いして、予定の利子を記入します。
複数年で返済する借金をしたとしても、
ここに記入するのはあくまで1年分の利子の金額なのに気を付けて。
それと、よく勘違いされるのですが、
ここに書くのは『利子』の金額のみです。
借りる『元金』は含まれませんので、ご注意ください。
㉔地代賃借費
自分の親戚の土地を借りる場合、ゼロ円のこともありますが、
他人の土地を借りる場合、だいたい
『1年間の金額は1反あたり〇〇円で』という取り決めを交わすと思います。
借りる面積と、1反あたりの金額をもとに算出して下さい。
㉕土地改良費
水田、畑などを国や市町村の事業で、
区画整理、土地基盤整備事業、というものがあります。
その事業を実施した水田、畑の持ち主は、
『何年かに分割して、その費用を払う』
という約束を交わしているのですが、
その金額をここに記入されているそうです。
私の身近の新規就農者で、この費用がかかっている人はいないので、
正確なアドバイスができないのですが、
とりあえず地域のJAや、市役所、土地の持ち主さんに
『区画整理』とか、『土地改良費』という単語の問い合わせをしてみれば、
自分が払う金額はあるのか、ないのか分かると思います。
以下は私が勝手に入力している項目です
農業のスタイル、売り方によっては役に立ちませんが、
一応ご紹介しておきます。
㉖(自分で入力)出荷手数料
先ほどの㉑、荷造運賃手数料で『産直などの手数料も加える』
とありましたが、私の出荷先の場合、産直市の比率が高いので、
出荷手数料だけ、自分で項目を作っています。
荷造運賃手数料の方には、宅配の送料、箱代やテープ代金、袋代金を
合計するようにしています。
手数料の金額をしっかりチェックしておきたい方は、
分けておいたほうがいいかもしれません。
㉗(自分で入力)広告費
使用頻度は高くないのですが、
FacebookなどのSNSで、野菜の広告を出すことがあります。
その時の費用は、この広告費として計算します。
野菜栽培ではあまり使わない項目
⑩素畜費
⑫飼料費
は、畜産農家の方向けの項目なので、
私は使っていません。
お疲れ様でした。経費の計算は以上です
以上で、農業にかかる経費の計算は以上です。
この経費の合計は、いくらになりましたか!?
次の記事でまた紹介しますが、
『売上』から、『経費』を引いたものが、
『250万円』以上になっていれば、
とりあえず計画書としては完成です。
計画通りにいくのかどうかはさておき、
150万円の給付金を受け取るための、
計画表 は、ほぼ完成したと思ってもらってよいです。
次回の記事で、また確認をしていきましょう。